1以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2020/04/26(日) 21:14:27.73 ID:e0wnwU/00

「これはどういうことなのでしょうか」

貴音はそう呟くと、ラッピングの丁寧な小袋を摘まんで振るのだけれど、空になっているそれは小さくカサカサとだけ音を鳴らすだけで、そこに入っていたクッキーを惜しむように貴音は目を向けながら、もう一度春香に向きなおすのであった。

「春香。わたくしは訊いております」

「えっと、その」

「昨日よりわたくしは楽しみにしておりました。春香、あなたがくっきぃを持ってくると言うので、わたくしは非常に楽しみにしておりました」

貴音はソファーに座る春香の隣へ音もなく座り、まるで子猫を撫でるかの様に膝上に小さなバスケット、正にクッキーが入っている、いや、入っていたが正しいのだけれども、その蓋をわざとらしく開けて中を春香に見せ付けながら、再び偉そうな口調を続ける。

「空ですね、おかしいですね」

「数、足りなくなっちゃったみたいで、その、早い人順に、しちゃって」

「早い者順、ですか」

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