- 1 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2020/07/03(金) 01:05:43.04 ID:a4T5KC6j0
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喫茶店の扉を開けた私をカランカランとカウベルが歓迎する。
そういうところもなんだかアンティークチックで、ここが『知る人ぞ知る』なんてうたい文句で『多くの人』に知られてる理由なんだろうな、と。一人納得する。
さて、店員さんはどこなのかな?
私が入口で突っ立ってると、奥から慌てた様子で店員さんがやってきて、「1名様ですか?」と聞いてくる。
いつもなら「いいえ、5人です」って答えるんだけど、あいにく今日はお一人様。
私は小さく「はい」と返して店員さんの案内で席へと向かって行く。
さて、一人寂しくだけど優雅な時間を過ごそう、そう思っていた時――――視界の隅に銀色の光がちらついた。
「あれ?」
店員さんの案内から外れて、私はその銀色へと近づいていく。
窓際の二人掛けのテーブルについている彼女はこちらに気づいた様子もなく、黙々と本を読んでいる。
そして、私は彼女の目の前に立ちその名を呼ぶ。
「逸見さん?」
「え?」
彼女は―――逸見さんは驚いた様子で私を見上げ、
「武部、沙織さん?」
少し、たどたどしく私の名前を呼んだ。
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