アニメ「野球狂の詩」
速度を変えて3回繰り返し(ドリームボール) + 冒頭1回(アンダースロー)
フォームの特徴:
力の入らない、下から上への腕の振りをどうカバーするかが鍵
・基本的にランナーが出た抑えの場面で投げるため、あまり溜めずに速いモーションで投げている。
アンダースローの踏み込み;
・最初に前足を高く上げるが、完全に静止せずに、ある程度の高さまで上げると、上体を倒すことで、
上体と前足の太腿をくっ付けて、力を溜めている。
・真下から投げるソフトボールは、殆ど前に踏み込まないで、一気に前足に重心移動するタイミングで
腕を振り上げるのに対して、
水原は、通常のアンダースローと同様に前へ踏み込んだ後に、途中から独自のフォームへ移行している。
・左側フォームでは、前足の膝を伸ばして大きく踏み込んでいるが、
右側フォームでは、前足を伸ばさずに、膝を曲げたまま、脛、膝を捻りながら、狭いステップで
踏み込んでいる。
上体を水平に維持する形;
・通常のアンダースローでは、腕を斜め下から振るために、上体を斜めに傾ければ良いが、
水原の場合、真下から投げるので、上体をほぼ水平に倒す形を長く保つ必要がある。
・上体を水平に倒しても、踏み込んで腰が低くなるにつれて、上体が斜めに傾いてしまうが、
これを妨げるために、高く引き上げた腕の肩を捩って、背中側方向へ腕を伸ばすことで、
上体を常に下向きに抑え続けて、結果として、上体を水平に傾く形を長く保っている。
・この動作は、力が入り難いフォームながら、肩に力を溜めることにつながると思われる。
グローブ側の腕;
・グローブ側の腕は、通常のように、畳んで捻って回すことで、回転を助けたり、回転の中心軸を明確に
する働きは無く、基本的に、投げる側の腕と同様に、真っ直ぐ伸ばしたままの形を保っている。
・下から上へ放り上げる投げ方は、通常の斜めの回転運動のように、前足側の腰が回転の中心とは
ならず、腰全体が中心となるため、グローブ側の腕を畳んで、中心の基準を作る必要性が下がると
思われる。
腰の落とし;
・水原の力が入り難いフォームに、力を生み出す最大の要因は、
アンダースローと同様に、両足を捻りながら踏み込み、両腕とも真っ直ぐ伸ばし、両肩を背中側へ
引いて捩った後に、腰を一瞬明確に落とすことにあると思われる。
・前足の着地前から両足の捻りにより、腰の位置が時計回りに大きく移動しているが、着地と共に、
腰をはっきり落とし、両膝のクッションをはっきり効かせている。
・この流れを止めずに、腰が時計回りに大きく回転移動を続けることで、踏ん張りが効く腰が入った形で、
両足の捻りを、腰を捻る力に変換できると推察される。
両肩の捩り;
・腰を一瞬落とすクッションが効いたタイミングを逃さずに、両肩を捩って、両腕とも背中の方向から
前方へ突き出す、ボーリングの形を作っている。
・アニメ映像では、長い時間ボーリングの形を作っているが、実際には、腰を落とした僅かな時間だけ、
伸ばした両腕を背中側へ回す動作に入っていると見られる。
・また、両腕とも真っ直ぐ背中側へ伸ばすのは難しいため、投げる側は真っ直ぐ上へ、
グローブ側は斜めに傾いた、右下フォームが現実に近いと思われる。
リリース;
・腕を振り下ろし始めると、両腕の形を崩し、グローブ側の腕を後方へ回すことで、両肩をスムーズに回して、
リリースへ移行している。
・両肩を背中側へ捩ることで肩に力を溜め、時計回りに大きく回転移動する腰を捻る力を使うことで、
腕を真下から真上へ振り上げてリリースしている。
・肘を曲げて腕を担ぎ上げるコッキングと、肘のしなりの部分は、アニメ映像では明確に描かれていないが
(右下フォームには一部見られる)、腕を振り下ろす過程で、簡略化した動作で挿入されていると推定され、
簡略化した腕の振りは、高橋直樹に近いと思われる。
舞い上がるフォロースルー;
・リリース後に、上体を反らせて空中に舞い上がるのは、不可能な動作であるが、力が入り難いアンダースロー
では、フォロースルーでしっかり腕を振ることで、力を補う傾向が見られ、
水原もフォロースルーを大きく取ることを意図していると見られる。
・実際の動作は、ボブギブソン、西口の様に、前足の足の裏の親指の付け根を中心に前足を回すことで、
勢いを殺さずに回転方向である3塁側へ向けて、軽くジャンプしながら体全体を回して、後ろ足が空中で
回った後に着地する動作に相当すると思われる。
・但し、3塁側へ体を投げ出すことは、腕を真上へ振り上げても、3塁側へ腕が流れるため、斜めのフォロースルー
の影響が現れてしまうと思われる。
ドリームボールの推定:
スピード;
・ソフトボール上野由岐子は約120km/h、恐らくオーバーと見られるが、日本女子プロ野球で約125、
アメリカでは、140近いスピードの女性投手がいるが、水原は筋力に乏しく見えるため、
フォームが優れる点を考慮しても、アンダーで110以下と推測される。
・鉄五郎が20年に一人の逸材と評したのは、関節周りの柔らかさ、平衡感覚を指していると見られる。
それでも、渡辺俊介、角等は、120でも狙ってストレートで空振りを取れるので、作品の様に球質が優れれば、
意表を突いて、球筋が見極められていない、の条件ではストレート勝負も可能と思われる。
特徴;
・ドリームボールの特徴は、最初はホップするストレートに見えながら、打者の手元で揺れて落ちることであるが、
はっきりとしたフォークと評価されなかった点から、急激な大きな落差ではないと言える。
・ホップする速い球に見えて、実は僅かに沈む球と推定されるため、ストレートとの見極めが難しいチェンジアップ
の類と見られ、現実には、初速がストレートと同一の、渡辺俊介のシンカーに相当すると思われる。
・ドリームボールが効果を発揮するのは、ホップすると打者に錯覚させる程の体感速度を実感させることが
できた時だけであり、水原の優れた体の使い方があってはじめて可能となると言える。
・ホップする球の軌道にバットの面を合わそうとした後に、実は異なる沈む軌道に球がある時に、バットの面を急に
変えたとしても、打者は対応できずに空振りする結果になると思われる。
・同様の考えを広げると、ホップする球は、通常の球の軌道と異なる軌道を描き、通常の感覚でバットを振っても、
異なる位置に球が存在するため、空振りし易くなると思われる。
説得力を持たせるため、製作スタッフは相当熟考してフォームを作ったのではないかと思われます。
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