“救急搬送”の実情　入院先なく・・・医師「胸が痛い」【羽鳥慎一 モーニングショー】(2021年8月24日)

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　東京都で23日、新型コロナウイルスに感染した50代の男性が亡くなりました。

　訪問診療を行うクリニックが撮影した映像です。亡くなった男性は、1型糖尿病の基礎疾患があり、集中治療室での治療が必要な状態でしたが、搬送先がなかなか見つからず、自宅療養を続けざるを得ない状況に置かれていました。

　救急搬送の実情を伝えたいという、ご遺族の了承を得て公開しています。

■“自宅療養”50代男性　医師駆け付け・・・

　20日午後4時、都内のマンション。部屋には、会社員の55歳の男性が横たわっています。

　在宅医療専門クリニック「ひなた在宅クリニック山王」の田代和馬院長。保健所からの要請を受け、駆け付けたのです。一度、救急車が来たのですが、受け入れ先の病院がなく、男性は自宅療養を続けています。

　医師：「救急隊は、何時間ぐらい粘ったの、ここで？」
　患者（55）：「どのくらいだろうな。ダメだというのは早かったです」

　高齢の父親と2人で住んでいる55歳の男性。1型糖尿病を患っており、インスリンの注射が必須です。

　医師：「水分も取れていなかった？」
　患者（55）：「いや水分はとれてた。大体、お水です」

　男性は、食欲がなかったため、インスリンを打つのを止めていたことで、合併症を起こしたといいます。医師が駆け付けた時には、自分で注射もできないほど衰弱していました。

■医師到着から1時間後・・・病院見つかる

　医師：「今ね、厳しい状態なんですよ。このままだと、亡くなるかもしれない」
　患者（55）：「はい」

　受け入れ先の病院を探しますが・・・。

　医師：「コロナ患者受け入れられます、今？」

　都内だけでなく、他県の病院にも電話します。

　病院：「川崎市の病院でいらっしゃいますか？東京の病院の患者さんを、お受けできないんですよ。すみません。他の病院当たって頂けますか？」

　血中酸素飽和度が90％を切ることもあり、場合によっては人工呼吸器が必要になるレベルです。

　医師：「ごめんね。助けようと思ってるから」

　到着から約1時間後、ようやく受け入れ先の病院が決まりました。自宅には、別の場所に住む姉も駆け付けました。

　病院が決まり、父親と姉は、安堵（あんど）の表情を見せます。患者は「ありがとうございます」と、声を振り絞りながら、感謝の言葉を伝えます。

　医師：「明日だったら助けられなかったかもしれない。今回、コロナって大変だけど、うまくいけば良くなる病気だから。元気になって、会えるの楽しみにしてる」
　患者（55）：「ありがとうございます」

　駆け付けた救急隊が病院へ向かうため、男性をストレッチャーで運びます。

■受け入れ拒否・・・再び入院先を探す

　患者は、ストレッチャーで救急車へ。田代医師も一緒に乗り込みます。

　車内で点滴をしながら病院に向かおうとしますが、患者の状態が悪すぎたため、病院側は受け入れできないというのです。

　振り出しに戻り、再び受け入れ可能な病院を探します。

　救急隊員：「分かりますか？」
　患者（55）：「水が飲みたい」
　救急隊員：「とにかく水が飲みたいんですね。病院、今、探しているので、ちょっと待って下さい」

　救急隊員も、電話で病院を探します。

　救急隊員：「それで先生が連絡してくれたんですけど、救命を当たったんですけれども、どこも取ってくれなくて」
　医師：「三次、無理だって。何だったら受けてくれんだよ。でも、しょうがないな・・・ICU（集中治療室）がないんだもんな」
　医師：「私、ひなた在宅クリニック山王の田代と申しますけれども、救急搬送の件で」

　患者（55）：「水下さい」
　救急隊員：「水、今点滴から体に水は入れているんで」
　患者（55）：「うん」

　医師：「厳しいようですね。一応、当たってもらって決まらない時のことを考えないといけないね。一回、僕降りて、家族と話してくる」
　救急隊員：「分かりました」

　田代医師と一緒に来たもう一人の医師も、病院を探し続けますが、多くの車が行き交う中、動かない救急車。知り合いの病院などに電話を掛け続けますが、どこも受け入れてくれません。

■必死の電話も入院先なく・・・苦渋の宣告

　家族に状況を説明するため、いったんマンションに戻る田代医師。家族は、タクシーで病院に向かおうと準備していましたが、再び部屋に戻ります。

　病院に向かったはずなのに・・・。家族に、動揺が広がります。

　医師：「やっぱりね、命に関わる合併症なんですね。一回受けてくれると言った病院が、そんなに深刻な状態だったら、受け入れられないと。僕らも知り合いづてで、色んな手を使って『入れてくれ』と言っている。誰が悪いって訳じゃないわけ、本当にもう、患者さんが増えすぎて、入るところが無いというのが、現実だから」
　姉：「（家に）戻ってくるってこと？」
　医師：「糖尿病の合併症で、亡くなるかもしれない。本当に申し訳ないことだけど・・・助けられなくて、ごめんというところもあるんだけど」
　父：「いやいや・・・」
　医師：「かなり厳しい状況で・・・」
　父：「（病院）全然、見当たらないの？はー考えられないよ。そんなの・・・」
　姉：「決められなかった場合、どうなるんですか？」
　医師：「ICUでやるような治療だから、家でやるにはとてもじゃないけど・・・」
　父：「はー考えられねーな」
　医師：「これが、テレビとかでやっている現実・・・」
　姉：「そうですね。
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